日本の高齢者介護の現状を考えるうえで、老老介護と認認介護の問題は無視できない。老老介護は老人が老人を、認認介護は認知症患者が認知症患者を介護する状況を指す。高齢者の世帯構造を見ると、核家族世帯が最も多く、次に単独世帯、その他の世帯と続いている。また、要介護度が高まると、単独世帯よりも核家族世帯や三世代世帯での介護が増える傾向がある。これは、要介護度が高い高齢者の介護には、より多くの人手と時間が必要となるためである。
また、要介護者の年齢が上がるにつれて、介護が必要となる主原因も変化する。若年層では関節疾患や加齢による衰弱がおもな原因となるが、高齢者では認知症や脳血管疾患(脳卒中)が主な原因となる。これは、年齢とともに認知機能の低下や脳血管疾患のリスクが高まるためである。
さらに、介護者の性別や年齢、介護時間にも注目が必要だ。介護者の大半は女性で、特に60〜69歳の女性が最も多く、終日介護時間に費やしている人も少なくない。このことから、家庭内での介護役割を担う性別は女性が多いことが読み取れる。また、介護者のストレスも無視できない。介護者の約7割が日常生活での悩みやストレスを感じており、特に女性介護者のストレスは高いだろう。
以上のことから、老老介護や認認介護の問題を解決するためには、介護者の負担軽減や介護サービスの充実が喫緊の課題であることがうかがえる。また、女性の介護負担が高いことから、男性の介護参加を促す政策や、介護者のメンタルヘルスを支える支援も重要となる。老老介護の課題や解決策、介護士向けの情報を幅広く網羅した「他人事じゃない!老老介護」も、老老介護の知識を増やすためにはおすすめだ。